NHK連続テレビ小説「つばさ」に対し、「朝からドタバタ騒ぎはやめてほしい」「小江戸と
呼ばれるほど、しっとりとした川越(埼玉県)にはふさわしくない」など、視聴者からの批判が
相次いでいる。担当チーフ・プロデューサー(CP)の後藤高久さんに、批判に対する見解を
聞いた。
「つばさ」は連続テレビ小説の第80作として今年3月30日にスタート。NHKの視聴者
対応報告によると、4月に寄せられた反響は1340件。このうち、批判が735件を占め、
好評意見の118件を大きく上回った。放送開始4週間での比較では、前作「だんだん」に
比べ、批判が3倍以上も多かった。
内容は「埼玉県人なので楽しみにしていたが、毎日ドタバタの連続で、見終わるとドッと疲れる」
(50代女性)、「主婦が家を飛び出して、また戻ってくるなんてあり得ない」(70代女性)など。
視聴率は14%前後で、「だんだん」に比べて1ポイントほど低く、苦戦が続いている。
若い世代では、「一見騒がしそうに見えて、でもホロリとさせられる。良さがわかる人も
たくさんいると思う」(30代女性)といった好意的な意見も多かったが、数十年間、連続テレビ
小説を見続けているオールドファンからの反発が目立つという。
NHKでは近年、若い世代に見てもらおうと、くだけた雰囲気の番組を増やしているが、
「若者向けに舵(かじ)を切ったつもりは全くない」と、後藤さんは話す。
「人間の心の傷や痛みを描く」のが、企画段階からあった「つばさ」の基本方針。「家出した母」
「頼りない父」「情緒不安定な弟」といった設定は、そのままドラマにすると暗い話になってしまう
ため、「対極にある笑いや元気さを取り入れた。陰の部分が暗い分だけ、陽の部分はとびきり
明るく」との発想から「ドタバタ」が取り入れられたという。
しかし、「ドタバタを描くことが主眼ではない」と強調。「親子の確執や夫婦の冷えた関係など、
家族をめぐる問題はきれいごとでは済まされない。きちんと人間を描こうとする姿勢は間違って
いないと思う」とも訴えた。
(
>>2に続く)
ソース:読売新聞(2009年6月30日(川辺隆司))
http://www.yomiuri.co.jp/entertainment/tv/20090630et01.htm